Project

私たちがiGEMで取り組むプロジェクトについてご紹介します。

プロジェクト

チームが取り組んだプロジェクトをご紹介します。 さらに詳細を知りたい方はぜひ直接お問い合わせください。

2024年

iGEM 2024出場に向けて、プロジェクト進行中です。

2023年 - 転写翻訳を介さない迅速な物質分泌システム

プロジェクトの概要

合成生物学は近年、広範な問題への適用が提案されていますが、実用化に至った例は未だ限られています。生物学的システムを社会課題の解決に役立てるためには、システムが外部刺激に迅速に反応することがしばしば要求されますが、生体分子のシグナルでは十分な伝達速度が得られないことがあり、これは実用化する上で大きな課題となる得ると考えられます。

このプロジェクトでは、合成受容体ユニットで様々な任意のバイオマーカーを検知し、プロテアーゼの状態でシグナルを増幅することで、任意のタンパク質を分泌レベルで制御するシステムを開発しました。 これにより、転写因子でタンパク質の転写を活性化する従来の物質分泌システムより迅速な応答を可能とし、がん治療などの幅広い分野に適用可能な拡張性を実現しました。

プロジェクトの現在

プロジェクトの詳細は、WikiページSWIFT - UTokyo 2023をご覧ください。

2022年 - 光で微生物にパスコードをかける

プロジェクトの概要

バイオセーフティとバイオセキュリティは、遺伝子組み換え生物(GMO)を応用し、現実世界の問題を解決するために不可欠です。例えば、化学物質の生産においては、合成生物学の急速な発展により、より安価でクリーンで持続可能な化学物質の生産方法が得られました。しかし、バイオセーフティやバイオセキュリティの問題を防ぐための十分なシステムがないことは、これらの進歩が社会に広がる障害となっています。

このプロジェクトでは酵母に対して「光」と「順序」を刺激として組み合わせた独自のアプローチを用いて、将来の合成生物学におけるより高い安全性とセキュリティの実現を目指しました。

プロジェクトの詳細

開発した酵母は、適切な色の光を適切な順序で当てた時のみ目的物質を生産し、それ以外の光を当てた場合は自滅します。以下で、光の「色」と「順序」に応答する仕組みを紹介します。

青色、赤色、緑色、紫外線(UV-B)の光で活性化されるタンパク質を用いて遺伝子発現を制御することで、酵母の光パスコードシステムを構築することを目指しました。

順序

このプロジェクトは、光の色の組み合わせではなく順序を用いる点で画期的です。開発した酵母では、組み換え酵素タンパク質を順序認識システムとして利用しました。このシステムでは、特定の認識配列が1つの配列内に2つ存在する場合、組み換え酵素がその間に挟まれた部分を切り取ります。これを用いて、次にどの色の光が照射されるべきであるかをゲノムに保存しています。

プロジェクトの現在

プロジェクトの詳細は、WikiページOptpass - UTokyo 2022をご覧ください。

2021年 - 傷口の状態をモニターし知らせてくれる創傷被覆材

プロジェクトの概要

少子高齢化が着実に進む日本では、要介護人口の増加や介護従事者の不足が深刻な問題となっています。このような状況下においては、本来であれば在宅看護の現場などで定期的にケアされるべき病状であっても十分にケアを受けることが不可能となるという問題が発生します。こういった類のケアを必要とする病状の一つに、寝たきりの患者や糖尿病患者に高頻度で見られる、褥瘡、いわゆる床ズレがあります。

このプロジェクトでは、この褥瘡に関する問題を解決すべく、傷口、特に褥瘡の管理を合成生物学的なアプローチにより行うことで、介護従事者や患者の負担を軽減する創傷被覆材を開発することを目指しました。

プロジェクトの詳細

我々の開発した創傷被覆材には遺伝子を組み替えた酵母菌が組み込まれており、大きく二つの機能を持ちます。

① 傷口の状態をモニタリングし、その状態を色変化で示す

傷口ではその状態に依存して、酸素濃度が変化することが知られています。そこで、その酸素濃度変化を酵母の好気嫌気経路の切り替え(酸素が十分にある条件と不十分な条件の切り替え)をハックすることで検知し、色の変化として提示して傷口の状態を知らせます。

② 傷口を清潔に保つため、抗菌ペプチドを分泌

傷口の状態を清潔に保つため、抗菌ペプチド(ヒト由来のディフェンシン)を分泌します。抗菌ペプチドは抗生物質と比較して耐性菌が生じにくい上、特にヒト由来のディフェンシンであれば体への悪影響も最低限に抑えられます。

機能のイメージ図

また、上の二つの機能を有する酵母菌をセルファイバー技術を用いて、機能を保ちつつ安全に封入します。

③ セルファイバー技術により酵母を安全に封入し、傷口と接触

セルファイバー技術(東京大学竹内研究室により開発)を応用することによって、セルファイバー(ファイバー状のある種の半透膜)の中に菌体を封入します。これにより、酵母菌そのものは傷口に逃がさない一方でディフェンシン等の必要な物質は傷口とやり取り可能になる、安全な設計となります。

簡易的な酵母入りセルファイバーの試作品

プロジェクトの現在

プロジェクトの詳細は、WikiページYEAST AID - UTokyo 2021をご覧ください。